雛菊について・3
2004年 12月 27日

雛菊が、自宅へやってきた。
虎太郎が家に来てから、調度4ヵ月後、4月の始めのことだった。
すぐに慣れるわけは無い、というのはわかってはいたのだけど
あまりのおびえ具合にこちらが不安になる。
ご飯を食べず、水も飲まず、もちろんトイレも使わず、
3日程テレビの後ろの安全地帯に篭城する。
これ以上できないぐらい身体を固くして、息を潜める雛菊。
対して、持ち前の気さくさを発揮し、
新しく来た雛菊に構いたくて仕方がない虎太郎。
そっとしておいてあげて…こたさん…。
とは言え、嫁を迎えて興奮中の虎太郎、聞く耳を持たず。
その後、雛菊がどうやら慣れ始めて出てきてからも
執拗に雛菊を追いまわし、追いかけっこをせがむ。
いや、もう、ほんとに、怯えてますから。
怯える雛菊を羽交い絞めにして、べろべろと舐めてあげる虎太郎。
虎太郎は落ち着かせようとしているのかもしれないけれど…うむ。逆効果。
怯えつつ、雛菊は野良時代の片鱗を見せ始め、
食卓に乗っている夕食後の鮭の皮などを恐るべきスピードでパクる。
ああ、床が魚油醤油まみれに…。
醤油まみれの床を、しょんぼりしながら拭きつつも、
保護されるまではそうやって生きてきたのであろう、彼女の境遇を思い
言いようもなく切ない気持ちに。
野良生活というのは、本当に大変なんだろうな。
でも、もう雛菊はそんな思いをしなくて良いんだよ。
と、再度篭城している雛菊に頑張って伝えようとしたのだけど、
なかなか私の気持ちは彼女には伝わらず、軽く片思い状態。
彼女から日々の緊張感が抜けるのは、それからかなりの時間を要しました。